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5月に入って県内では庄内地域を皮切りに田植えがはじまり、いよいよ米づくりの作業が本格化しようとしています。
田植えされた苗が新しい根を出して、再び生長を始めることを活着と言います。苗が活着すると、土壌から自力で養分を吸い始めます。この活着の良し悪しが、その後の生育に大きく影響します。
活着できる最低気温は、苗の種類によって異なり、稚苗では13℃前後、中苗では14℃前後です。そのため、田植えは気温が低い日や風の強い日を避け、天気の良い日を選んで行うことが重要です。
また、軟弱徒長苗や老化苗は植傷みしやすく、活着に時間がかかります。育苗後半も適切な温度管理を行うとともに、苗が老化する前に田植えを行います。また、欠株になることを恐れて深植えすると分げつの発生が抑制され、その後の茎数増加や収量に影響を及ぼします。過度な深植えにならないように、注意しましょう。
健全で丈夫に仕上げた苗を、天気の良い日に田植えすることで、初期生育量を確保し、今年の稲作を順調にスタートさせましょう。
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山々の緑もしだいに色濃くなり、県内の放牧場では間もなく牛の放牧が始まります。
畜舎と放牧場では、飼育環境が大きく異なるため、放牧場への移動は牛にとって大きなストレスとなります。このため、放牧前に牛を馴らす「馴致」を行う必要があります。改めて馴致の基本について確認しましょう。
まず、放牧前に生草に徐々に馴れさせる必要があります。牛の胃が生草に馴れるには20日から30日程度必要です。そのため、放牧する約1ヵ月前から濃厚飼料の給与量を徐々に減らし、生草や乾草などの粗飼料を増やします。およそ20日前からは、粗飼料のみにするとともに、徐々に生草を増やしていきます。また、可能であれば畜舎から外に出して、外の環境にも慣れさせましょう。
このほか、削蹄は入牧直前ではなく、出来るだけ早めに行っておきます。また、皮膚病などがある牛は、環境変化によるストレスで症状が悪化する場合がありますので、入牧前に必ず治療するようにしましょう。
入牧予定日に合わせて事前に馴致を行い、牛の体調を十分に整えてから放牧を行いましょう。
さくらんぼの摘果による肥大促進効果を高めるためには、できるだけ早く作業を終わらせる事が重要です。「紅秀峰」では満開15日頃から、「佐藤錦」では満開25日頃から着果の多少が分かってくるので、よく観察し、多い場合は早めに摘果を始めます。
作業はスピードを重視し、まず園地全体を大まかに一回りした後に、着果が多い部分を見直すなど複数回で仕上げましょう。
適正な着果量の目安は、「佐藤錦」や「紅秀峰」では短果枝(たんかし)当たり二個程度、「やまがた紅王」では少なめの1.5個から2個程度です。
果実は、全ての枝に均等に成らせるのではなく、日当りの良い上枝や樹勢が強い樹では多めに、日当りの悪い枝や樹勢が弱い樹では少なめに着果量を調整することが、品質を揃えるポイントです。
また、双子果は、着果量が十分な場合は摘果します。一方で、着果量が少ない場合は摘果すると、残った果実の熟度が急激に進み、過熟になりやすくなります。そのため、適正な着果量を確保するよう摘果せずに残しましょう。
この時期は果実肥大にとって重要な時期です。5月20日頃までは積極的に灌水を行いましょう。
5月は、露地野菜の多くが定植時期となります。定植直後の苗は、霜や低温の影響を受けやすいので、次の2点に注意しましょう。
1点目は適期に定植することです。平年より暖かい日が続くと、早く定植したくなりますが、20日頃までは霜が降りる恐れがあり、早植えすると霜や低温の被害に遭いやすくなります。前年までの作業日誌と現在の苗の生育状況、天気予報とを照らし合わせて、定植する日を決めましょう。
2点目は定植後の温度管理です。トンネルを設置し、定植間もない場合は、ホットキャップを設置して保温します。霜注意報の発表等、翌朝の低温が予想される場合は、夕方早めにトンネルを閉めて温度低下を防ぎます。この際、茎葉やつるがトンネル資材に付着しないように注意しましょう。なお、翌朝は遅れずにトンネルを開け、日中は過度に保温せず、活着と生育促進に努めましょう。
細やかな管理が必要な時期ですので、適期定植とトンネルの開け閉め等を適切に行って、初期生育を十分確保し、丈夫な野菜づくりを心がけましょう。